どのくらいの英語力が必要? – 移住編

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前回は留学、ワーホリ・海外旅行、出張の場合における必要な英語力について述べました。しかし、中にはそういった短期のものでなく英語圏の国に移住したいという方も近年非常に増えていると思います。

移住の場合となると前回の話だけでは不十分で更に上のレベルの英語が必要となります。要は上級者レベルあるいはネイティブと遜色のないレベルの英語力が必要となるわけです。例えば TOEIC や IELTS、TOEFL といったテストは特定の分野の英語をカバーしていても、英語全般をカバーしているわけではありません。実際に留学や海外生活の経験がなくても事前に問題集などで何度も反復練習をして出題パターンや傾向をつかんでおいて、満点や高得点をたたき出す人も近年は少なくないので、それらのテストで高得点を出すことが必ずしも英語ペラペラとイコールであるとは限りません。それらのテストで満点を取れたからと言って、政治の話から、税金の話、流行りの音楽やファッション、映画、人間関係の悩み、恋愛、日本の文化、料理について不自由なくペラペラしゃべれるわけではないですし、逆に帰国子女はそのようなテストでは仮に満点を取れなかったとしても上述のようなあらゆる分野について不自由なく話せるわけです(政治や税金は専門の知識も必要なので別ですが)。

移住となればその国に自分の城を構えて、家族や子供が出来れば養っていかなければならないですし、仮に自分ひとりで生きていくにしても日本でサラリーマンをやっている時と同じように一定の安定した収入が必要になってきます。そしてそれはローカルのカフェでバイトとかいうものではなく、現地企業でサラリーマンとして仕事をゲットするなど日本で暮らしている時と同様の職種、収入、生活レベルを長期にわたって確保していくことが必要になるわけです。

近年は YouTube でも多くのワーホリの人たちが1年で100万円貯めたとか、海外ではバイトでも時給が20ドルを超える、月40万、50万円稼げるなどと報告していますが、確かに日本と比較すればものすごく高いように聞こえますが、それはその国の物価が日本よりはるかに高いのでもらえる金額も大きいかもしれませんが、出ていくお金も同様に大きくなり、金額でなく生活水準で見れば日本とさほど違いはありません。そして、そういった動画で報告される金額はやはりそれはアルバイトの金額なわけです。いわゆる日本で言う正社員レベルの職となれば時給で換算すればもっと上がるわけです。

それらの仕事をゲットするには最初に述べた通り、上級レベルあるいはネイティブレベルの英語力が必要になってきます。よく日本の中学や高校で習う受験英語は堅苦しくて生の会話ではほとんど使われない、習っても役に立たないと言われます。確かに日常会話では耳にすることは極めて少ないと言っても過言ではないかもしれません。しかし、われわれ日本人が海外に出ていく場合、遊ぶためではなく留学であったり、出張などビジネスで行くわけで、そのような場面ではむしろ日常会話のようなくだけた喋り方やスラングバリバリの会話を話すわけには行きません。仕事で取引先相手に「よう、元気?」なんて言ったら速攻で相手にされなくなるのは海外でも日本でも同じなわけです。そこはやはり「こんにちは。いつもお世話になっています」とか多少かしこまった、堅苦しいあいさつになりますし、逆に日常会話でそのような言い方をしたら調子が狂ってしまうので、日常会話では使われないわけです。

多くの日本人が海外でローカルの仕事をゲットするのは至難の業。そんな人は超エリートなどごく一部などと言われていて、本当にごく一部の人しかゲットできていない現状があります。ワーホリの人たちの間ではローカルのカフェやレストランで仕事をゲット出来たら誇らしげに語るわけです。

しかし、実際には多くのアジア系の人たちを始めとする非英語圏の人たちはローカルの一般企業で仕事をゲットするだけでなくスーパーバイザー、マネージャー、部門長などの職をゲットしています。何が違うかと言えば、単純に英語力です。ほぼそれだけと言っても過言ではありません(実際には他にいくつか理由がありますが)。日本人は受験英語は使われない、覚える必要はないと言っていますが、彼らの英語力はそんな低い次元のものでなく、堅苦しい表現だろうが、日常会話、スラングであろうがそれらすべてを網羅するほどの英語力を兼ね備えています。決してスキルに差があるとか仕事の処理能力が高いというわけではありません。むしろそういったものは日本人の方がしっかりできると思います。でも、海外に出ればまずその国の言語が不自由なく喋れる、書けるというのが第一歩になるわけです。日本でも日本語が片言しか喋れない外国人を採用したいと思うことはないと思いますし、逆にすごくペラペラに喋ったらそれだけで「この人すごくできそう」と思ったりしないでしょうか?