新型コロナウィルス – オーストラリア政府の対応 20/4/7 現在

Train-Station
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オーストラリアは14日間の自己隔離から旅行禁止、入国禁止。州境の閉鎖、生活に欠かせないお店の閉店、外出を控える要請など3月の一連の規制で新型コロナウィルスの感染だけでなく、経済や町の雰囲気もすっかり変わってしまいました。

オーストラリア政府の公表では2月27日時点で感染が確認されたのは22件。3月に入った頃はスーパーでトイレットペーパーがなくなり始め、その当時はまだ「ったく、誰だよ買い占めるやつは?」というような感じで、まだまだ新型コロナに関して真剣に考えている人は少なく誰も現在のような状況になることは想像していないかったと思います。しかし、今は多くの人が職を失い、失業手当の申請に5時間とか10時間とか要したり、家賃やローンなど払えなくなったり、現在そうでない人もやがて自分もそうなるのかと多くの人が不安に感じていると思います。また、町中は警官やパトカーが徘徊して不必要に外に出ていそうな人を尋問したり罰金を科したりするケースも出てきていて、町の様子はすっかり変わってしまいました。政府は今のような状態が最低でも6か月は続くだろうとみています。

オーストラリア政府は日々マスコミの前で新たな規制や支援、援助、状況のアップデート、質疑応答など日本の政府と比べると様々なことを打ち出し、行動も早いように思います。日本政府は今日になってようやく非常事態宣言を今夜宣言したばかりでそれと比べたらその差は明白です。私は政治の専門家ではありませんが、これは日本の政府がダメとかではなく、海外ではトップの判断である程度決められる、日本は何か一つのことを打ち出すのにあらゆる準備や吟味、根回しなどが実務的、あるいは法律的に必要であったり、様々な要因が絡んでいるのではないかと思われます。

来週には3月半ば以降の様々な規制が設けられてから1か月になります。これが後5か月も続くのかと考えると苦痛ですが、ここで備忘記録の意味も含めて、この1か月を振り返ってみたいと思います。

下記に示す内容以前(主に2月)はオーストラリア政府は中国、韓国、日本、イタリア等ヨーロッパの状況を見ていて、オーストラリアでも今後感染が広がっていくという見方がなされていたものの、まだこの頃は新型コロナウィルスについての特性や特徴などの多くがわかっておらず、状況的にSARSや鳥インフルエンザなどと同等あるいはそれ以上の影響を及ぼすだろうとだけ見込まれている程度で、中国やイタリア、韓国から帰国するオーストラリア人の14日間の自己隔離などを設けるなどありましたが、後述するような様々な規制は設けいていませんでした。しかし、3月前半に感染が急拡大し、3月半ば頃から連日規制に規制を重ねるようになっていきます。それに伴って、失業者、休業に追い込まれるビジネスも急増し、経済的な支援も多岐に渡り発表されました。

①オーストラリア政府による規制

2020年3月15日 -スコット・モリソン首相が海外からの渡航者に関して14日間の自己隔離、オーストラリア人の海外旅行の自粛、海外にいるオーストラリア人に早急の帰国を要請。オーストラリア国内での感染増加について海外からの入国者からの感染と分析、発表。

2020年3月16日-豪政府、500人を超す屋外での大規模集会を禁止。スポーツや音楽、フェスティバルなどが開催を中止、social distancing 1.5m の要請。

2020年3月18日-豪政府、100人を超す屋内での小規模集会を禁止

2020年3月18日-タスマニア州政府、州を閉鎖、航空会社減便を開始

2020年3月20日-豪政府、夜9時より外国人(居住者を除く)の入国禁止

2020年3月23日-豪政府、生活に必要不可欠でないお店の閉店を発表、

2020年3月24日-豪政府、オーストラリア人の国外渡航禁止の発表

2020年3月24日-西オーストラリア州、南オーストラリア州、ノーザンテリトリー準州、州を閉鎖

2020年3月25日-クイーンズランド州、州を閉鎖

2020年3月25日-豪政府、グループ活動の規制。結婚式5人以下、葬式10人以下、自宅でのBBQに友人など外部から呼ばない。non-essential、eseential service の具体例を説明。

https://www.pm.gov.au/media/press-conference-australian-parliament-house-5

https://www.pm.gov.au/media/update-coronavirus-measures-24-March-2020

2020年3月25日-各在豪日本大使館、領事館よりワーホリビザ所有者に日本への帰国喚起のEメールを配信。

2020年3月29日-豪政府、海外からの帰国者に14日間のホテルでの隔離の義務化(警察に先導されながら)。買い物、通勤、通学以外は自宅待機を要請、屋内外を含め家族以外との集会は2人まで(自分ともう一人)に制限(上記結婚式、葬式を除く)。

2020年4月5日-豪政府、短期滞在ビザ所有者に関する措置。旅行者は早急に母国へ帰国、ワーホリ、留学生等は家族のサポートを受けられないなら母国への帰国を促す。

https://minister.homeaffairs.gov.au/davidcoleman/Pages/Coronavirus-and-Temporary-Visa-holders.aspx

2020年4月7日現在、NSW州、VIC州、ACT首都特別地域は州の閉鎖を表明していませんが、不必要な外出には厳しい罰金、罰則が科されていますので、実質州を越えての旅行は正当な理由があると認められない限り無理です。

②オーストラリアの経済支援策

オーストラリア政府は現在様々な経済支援策を打ち出しています。詳細は下記に示す通りですが、ターゲットとしては大きく分けて、中小企業・個人事業主、失業者、年金受給者などの経済的弱者、そしてそれらに対して資金を融通しやすくさせるべく民間銀行。更に向こう6か月間の家賃や銀行へのローンの返済の猶予など(払える人は除く)。失業、倒産を防ぐべくあるいは仮にそうなったとしても必要最低限の生活を継続していけるよう、その支援策は多岐に渡っています。

2020年3月12日-豪政府、1,760億豪ドル相当(約11兆円)の経済刺激策を発表。企業の投資をサポート(主に固定資産)。中小のキャッシュフローをアシスト、甚大な影響を受ける業界へのサポート(観光業、農業、教育業界など)、資金が苦しい家庭へのサポート(主に年金受給者、生活保護を受けているものなど経済的弱者へのサポート)

2020年3月18日-RBA(オーストラリア中央銀行)が政策金利を0.5%から0.25%へ引き下げ、民間銀行に900億豪ドル相当(約5.8兆円)のTFFを発行(中央銀行が低い金利で民間銀行に資金を貸し出し、民間銀行が顧客である中小企業に低い金利で資金を融通しやすくする)を。また、豪政府も追加で150億豪ドル(約1兆円)の支援策を発表。銀行からの国民や企業への資金援助を促す。

2020年3月19日-オーストラリアの4大銀行は中小企業を対象に向こう6か月間ローンの返済猶予を受け入れることを発表。

2020年3月22日-豪政府、追加で661億豪ドル(約4.3兆円)の追加支援策を発表。中小企業や家計へのサポートをメインとする。また、140億豪ドル(約9,000億円)を投じて、Job Seeker Subsidy (求職者に対し、通常の失業手当にプラス$550ドルを上乗せして支給)を創設。

2020年3月23日-豪政府、スーパーアニュエーション(年金)の早期引き出し可能を発表。

2020年3月30日-豪政府、中小企業のコロナウィルスの影響による家賃未払いに伴う不動産所有者からの立ち退き命令について向こう6か月間向こうとすることを発表。突然通知を行うのでなく、お互いが面と向かい合って支払いプラン、家賃の減額など建設的な話し合いをすることを要請。不動産所有者は資金的に辛ければ銀行と資金融通などを話し合うことを勧める。

2020年3月30日-豪政府、1,300億豪ドル(約8.4兆円)を投入して、Job Keeper Subsidy を創設することを表明。これは従業員を解雇せず雇用を継続する場合に向こう6か月間、2週間ごとに1従業員あたり1,500豪ドルの支援というものですが、現在どうやって支給されるか、対象となる従業員や条件等も含めて議論されていて詳細は現時点ではわかっていません 。

以上はオーストラリアの連邦政府の支援策ですが、州政府レベルでも独自の支援策を打ち出しているところもあると思います。例えば西オーストラリア州では水道光熱費や電話などの通信費に関して、供給会社が未払いを理由に支払いの督促やサービスの供給をストップすることを当面禁止すると発表しています。

オーストラリアの経済支援策は30兆円を超える規模、日本は108兆円(の予定)。人口や経済規模(GDP)は日本の方が4倍ほどありますので、どちらも同じ規模の支援策を掲げていると考えてよいでしょうか?

③社会の様子

オーストラリアは現在生活上必要不可欠でないお店は閉まっています。また、企業は閉店を余儀なくされたところは閉店してますし、動いているところも在宅勤務に切り替えられる部署はそうしているところが多いです。なので、電車はガラガラです。現在は基本自宅待機を求められ、人と常に1.5m以上離れるように配慮したり、白人もかなりマスクを着用するようになってきています。

一方、日本は今夜緊急事態宣言が発令されましたが、法的な外出規制などはなくあくまで在宅勤務や自宅待機、生活に不可欠でないお店の営業の自粛を要請するに留まり、都道府県境の封鎖なども行われていません。一方、緊急経済対策として一定の条件を満たした生活に困窮している人への現金給付30万円、中小企業へ200万円、個人事業主・フリーランスへ100万円の一時金の支給、児童手当受給世帯に児童1人につき1万円の上乗せなどが発表されました。

これまでは通常と変わらず外出や通勤も通常通り行われていたようですが、今後どうなるか注目です。オーストラリアの現状を考えると日本の通勤ラッシュがまだあること自体信じられません。

新型コロナウィルスの感染者数ですが、感染が確認されたケースはオーストラリアが今日現在(4月7日現在)5,908件、日本が4月6日現在で3,654件となっています。